ある日の1組。


「歩ぃ、なんか今日元気なくない?」


真奈美が、窓際の自分の席に座るあたしの前の席に座って、心配そうに話しかけてきた。


「別に元気あるけど…?」


「いや、ない!隠そうとしても、私にはお見通しだよ!そうやって辛い事隠すの、歩の悪いとこだよ。」


あたしの机に両手を置いて、俯き加減なあたしに、ずぃっと顔を近付けてくる。


………真奈美には負けるなぁ。


あたしの目から目を離さない真奈美に負けて、昨日の出来事を話すはめになった。


「実は、昨日……初めて達也とケンカしちゃって……。」


「マジで?昨日って、達也君と歩の1ヵ月記念日でしょ?何でケンカなんか……」


すぐ目の前の真奈美の顔が、驚きと悲しみの入り交じった顔になった。



そう、昨日は達也と付き合って1ヶ月の記念日。だから学校の後、お祝いしたんだ。


「うん……ケンカの原因はしょうもない事だし、もう仲直りはしたんだけど…。」



初めて見た怒った達也…。


思い出すだけで、落ち込んでしまう。





昨日


最後の授業が終わった後、すぐに達也の家に遊びに行った。


相変わらず、お母さんはいなくて、二人で仲良くしてたんだけど、ほんとささいな事で言い争いになって……




「達也ウザい!」



思ってもない事を勢いで言い放ってしまった。



その瞬間




パチン!




あたしの左頬に鋭い痛みがはしった。



何がなんだかわからなかった。


顔をあげると、達也の手の甲が目の前にあって、叩かれたんだ、とやっと分かった。


痛みよりも何よりも、達也に叩かれたという事実が


悲しくて 驚いて


涙が溢れた。