「ちょ、り、理大!?」
あまりに突然のことで、私は慌てて理大の腕から離れようとする。
が、理大は全く離してくれる様子もない。
「だーめ。離さないよ」
耳元で囁かれた甘い声に私は思わずビクッとしてしまう。
理大ってこんなにオトナっぽい声、だったっけ。
「希依ちゃんって、耳弱いんだ?いいこと知った」
「ち、違うよ!理大がいきなりこんなことするから、ビックリしただけだよ!」
少し熱くなった耳をおさえて否定する。
「だって希依ちゃん、全く俺の気持ちがホンモノだって信じてくれないんだもん」
「理大はいつもそうやって私をからかって……っ」
「からかってなんか、ないよ」
「え……?」
意味が理解できない私をさらに強く抱きしめた。
理大の考えていることがわからない。
今まで抱き付いたり、好きだって言ったのは私をからかってただけじゃなかったの?
「好きでもない子をこんな風に抱きしめるワケないじゃん」
「う、そ」
じゃあそれってもしかして……理大は……。



