「じゃ、これちょっと借りてくわ」
「う、うん!もちろん!」
玲大に笑顔を向けたあと、理大を見るとムスーッとして不機嫌オーラを放っていた。
「り、理大?」
「希依ちゃんってば玲大に対してはすっごく優しいよね」
「そ、そう?」
そんなつもりは……ないんだけどな。
「そうだよっ!玲大ばっかズルいよ」
拗ねたように口をとがらせる理大。
そんな理大に私はため息をついた。
「拗ねてるんだったら、今日一緒にご飯食べてあげないよ」
「ヤダ!拗ねない!だから許して!」
……単純だな、ほんとに。
普段は友達と食べてるんだけど、毎週水曜日は理大と2人で食べるって決まりなんだ。
理大が一緒に食べようってうるさいから、そういう決まりにしたんだ。
キーンコーン―――
「じゃ!また次の休み時間ね!」
「はいはい」
笑顔で私に手を振ると、自分の席へと戻っていった。



