「照れてる顔もかーわいっ」
理大は楽しそうに私の頬を指で突く。
全く、いつもそうやって私をからかって……。
「もう、理大ってばからかうのもほどほどに……っ」
「……そんなことしてると、遅刻するぞ」
今まで一言も発さなかった玲大が無表情で言った。
「もーっ!玲大、理大になんとか言ってよ!」
なんて言いながら、玲大の背中にくっついてみる。
大きな玲大の背中。
昔は3人の中でも一番チビだったのに、今では一番背が高い。
玲大の匂いはずっと匂っていたいぐらいに、好き。
香水とか柔軟剤の匂いとはまた違う、いい匂いなんだ。
……って、私はヘンタイかっ!
「理大、朝からうるせぇ」
「2人して俺をいじめるなんてヒドイよぉ……」
「……希依、理大置いて先に行くぞ」
子犬のようなウルウルした目で私と玲大を見つめる理大に対し、玲大は冷たい目を向けた。
「うんっ」
少し早歩きをして、先を歩く玲大を追いかけた。
「希依、コケんなよ」
「だ、大丈夫っ!」
「おい!置いていくなよ~っ!!」
毎日変わらない、3人で過ごす朝。
私はこんな毎日が、大好きだ。