「俺が今日ここに来たのは勉強を希依に教えるためじゃない」
突然、玲大がそんなことを言う。
「え?」
じゃあなんで……?
首を傾げると、玲大はゆっくり口を開いた。
「……お前と、2人きりになりたかったんだよ。ずっと」
「……えっ!?」
ずっと私と……2人きりになりたかった?
ウソ、でしょ?
「え、っと、あ、あの……っ」
「勉強教えるってのは口実。ずっと理大がお前にベッタリだから」
えっと、全く状況が理解できない。
なんで玲大は私と2人きりになりたかったの?
わ、わかんないよぉ……。
「ずっと理大のことばっか構ってさ……たまには俺のことも相手しろっての」
すると、拗ねた表情で玲大が私の肩に頭を預けてきた。
玲大の匂いが鮮明に感じられて、胸の鼓動がまた速くなる。
「玲大……っ」
「俺がなんでわざわざ口実を作ってまでお前と2人きりになりたかったか、わかるか?」
「えっと……全然、わかりません」
私の答えに玲大は大きくため息をついた。



