それから午後の授業を終え、HRが終わると私は友達に手を振って、すぐに学校を出た。
「ただいまーっ!!!」
慌てて部屋に滑り込むと、脱ぎ捨ててある服や机に置いてある本を片付ける。
そして最後に掃除機を軽くかけた。
「ふぅ……セーフだ」
「希依ー、玲大くんが来たわよー」
「はあーいっ!」
1階からお母さんの声が聞こえて身構えてしまう。
玲大が私の部屋に来るなんて、何年振りだろうか。
小学生まではよくお互い行き来してたけど、最近は全くだった。
ガチャ―――
「い、いらっしゃい!」
「あぁ」
「そ、そこ座って」
ベッドの前のテーブルのところに玲大を座らせると、私は数学のワークとルーズリーフとペンケースを用意した。
そして玲大の隣に座る。
「希依が間違えてた応用は……確か、このあたりの問題だっけ」
ワークで私が間違えた問題と同じような問題を指さす。
「そう、それ!解説読んでもイマイチわかんなくて、テキトーに答え書いたんだよね……」
「これはこの公式に代入して……」
玲大はものすごくわかりやすく、問題を解説してくれて、私はすぐに理解した。
「なるほど!じゃあこの問題は……答えがこれってことか!」
「そう。やればできるじゃん」
不意にフッと笑った玲大に、私は思わず目を奪われる。
あぁ、玲大の笑顔……好き。
ずっと見ていたいぐらい、好き。



