桜の降る日に


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「やーまーとー!!」

空き地にバイクを停めてすぐ呼ばれた。

『翠じゃん。久しぶり。』

「大和最近の来ないからどうしたのかと思ってたよ~。」


この元気いっぱいで人懐っこそうなのは
片岡翠太(かたおか そうた)

『気分的に。』


「気分的にって…いやいや、ちゃんと遊びにきてよ!
大和来ないから物足りなかったんだけど!」

犬かよ。

『ちゃんと来る来る。』

そう言って俺は翠のふわふわした茶髪頭を軽く叩いた。


「うるさいからって叩かなくてもいいじゃん。
あ、そういえばね~…」

言いかけた翠の声を遮って笑い声が聞こえた。


「あははは~!!なにそれーー!」

すっごい元気の良いいつもとは違う声。 


声のするほうを辿ると
見慣れた赤髪のツーブロックをしてつり目の
どう見てもヤンキーだろっていう厳つい見慣れた奴。と


腰までありそうな長い金髪の女。


女っていうか多分女。

しゃがんだ後ろ姿しか見えないけど
小柄な感じだし多分女。

女がここにいるのなんて初めて見た。