「おー羽田ごめんなー

ありがとう」


「全然大丈夫ですよ」


放課後の図書室。


先輩とふたりきり。



「今更だけど羽田、俺といると好きな人だと誤解されちゃうな」


「好きな人なんているわけないじゃないですか。
先輩こそ好きな人に誤解されたら嫌ですね」


内心、何で聞いちゃったんだろうと思いながら先輩にいった。


「俺もいないんだなー」
  

「同じですね。」
  

安心したのかな。


「いや嘘。本当はいる。」


ずっしりと足が重たくなるのがわかった。


体がかたまって動けない。


「そうなん…ですか」


「もう、気づけよ。

俺、何のために図書委員はいって、仲良くなって。

今日なんか放課後の図書頼んだと思ってんだよ」


理解不能。


そんなわけない。


「答えろよ。」


先輩が怖い。


好きなのに、先輩が怖いと思った。


「俺はお前のこと…」


あたしは先輩の言葉を聞かずに図書室を出た。