「なぁ、何かあった?」

瀬川くんは私に一歩近づいて話し掛ける。


そして私は一歩下がる。

「俺なんかした?」


黙って俯向いて居るのを不思議に思っているのだろう。


「言ってくれないと分からないよ」

少し声が掠れている。


ためだよ。

だって,今瀬川くんに話しかけたら


泣けてきちゃう。

みっともない姿。 見られたくない。


「なあって」

強い口調で言う。

私は瀬川くんに腕を掴まれた。

私はカッとなって


「離して!!」

バッと手を振り払った。


あっと思った瞬間には遅かった。

「あ、   ごめ......」


怒ってるよね....


「ま、俺には話したくないんだな。
いつでも話聞くから言ってよ」


ポンと私の頭に手を置いて行ってしまった。


カサッ


私の頭には紙があった。

彼のメアドだった。


「ま、俺には話したくないんだな。
いつでも話聞くから言ってよ」


私はその優しさに涙した。

こんなに優しい人がいるんだ。



あの真っ赤な林檎に包まれてる様な気がした。


すごく幸せな気持ちになった。