キミへ

「えー。この前もこの辺で終わったじゃんかぁ~」



顔をむすっとさせてそいつは裸のまま
俺の方をじっと見ている。



誰も来ない図書室は日当たりのいい場所に
あるため5月でも暖かい。



「続きは彼氏にしてもらえ」



笑いながら答えると、納得したのか
やっと制服を着始めた。



俺も好きな人の一人や二人いれば
楽しい生活が送れるのかもしれないが
こんな偽ってばっかの俺にはなぁ…。



「ねぇねぇ、はるとって彼女作んないの?」




ブラウスのボタンを閉めながら聞いてくる。



「ん?俺はみんなのアイドル☆」



目の横でピースをしながら言うと
何それーと言いながらまた着替えに
集中し始めた。



口ではこんなことを言っているが
別に気になる人がいないわけでもない。