キミへ

「ハルト」



「…え?」



「ハルトだよね、キミの名前」



溶けてしまいそうな顔と笑顔で
俺に向かって告げる。



どこかに消えてしまうんじゃないかって
くらい泣きそうな笑顔だった。



なんで俺の名前を知っているんだ?



初対面のはずなのに。



「キミのことはよく知ってるよ。
理由は内緒だけど」



指を立ててしーとするナツキ。



この子はいったい何者なんだ?



俺は聞きたいことでいっぱいだった。



でも何も聞けなかった。



聞いてはいけない、
そんな気がして―――――――――。