石ころを蹴りながら歩く勇紀は、何処か心ここにあらずといった感じだった。
ぼーっとしていて、あたしも話掛けるに掛けれなかった。
「…もーすぐだな」
学校から家までの約半分を歩いた所だった。
勇紀がやっと喋った。
ホッと安堵したと同時に、もうすぐの意味がわかって…肩がビクッと揺れた。
「何のこと?」
「…わかってんだろ?」
凌兄のことだよ。
小さく、思わず聞き逃してしまいそうな声で言った。
とぼけは、通用しないようだ。
さすが兄弟…。
「…そうだね」
あたしはそれしか、返す言葉が見つからなかった。
寂しい…なんて、悟られたくない。
「…そうだねって。ちゃんとわかってんのかよ?」
勇紀が少し声を荒げ、「わかってるよ?」とあたしは驚く程冷静に返す。

