凌兄が引越しするまで、あと一週間に迫った。
勇紀は今日も、不調だった。
ゴールがなかなか決まらない。
そのせいなのか、イラついている。
さすがに心配になる……。
「スランプかな…」
でも、なんとなく理由がわかっていた。
きっと勇紀も…凌兄が居なくなることに困惑しているんだと思う。
あたしたちは、似てるから。
「えっ…」
友利亜と昇降口まで向かうと、エナメルバックを提げた勇紀がいた。
「なんで?部活は?」
「サボった!」
おちゃらけながら笑って言う勇紀だったけど、すぐに頼りない顔になった。
多分あたしに話したいことがあるんだと思う。きっと、家じゃ話しにくいこと…。
ほっとけなくて、友利亜に謝って勇紀と帰ることにした。

