凌兄を見つめると、目が合った。
涙が零れてきそうなのを、頑張って堪える…。
寂しい……
嫌だ………
「…ぃか…なぃ…でっ…」
「あ?」
「……なんでもない」
頭をふるふると横に振った。
そんなこと言う資格、あたしにはないの。
…でも、
゙行かないで″
その気持ちが、あたしの心を占領する……。
ポンと軽く…した感触を疑った。
顔をあげると、凌兄の腕があたしの頭へと伸びて来ていた。
目をパチパチとさせる。
前髪を軽く持ち上げるように、前から真ん中までくしゃっと髪を握って…そこで拳を作ったまま、止まっていた。
何か、口を開きかけ、口をつぐんだ。
「…ちゃんと寝ろよ」
凌兄はぐりぐりと、頭をやってパッと手を離した。
…抱きしめて欲しい……。
後ろ姿に思わず、腕を掴んで引き止めてしまいそうになる。
人差し指を、クマの辺りへと持っていく。
凌兄が一人暮らしをすると言った日から…あまり寝れていなかった。

