コロンッ…って、音がした瞬間は、それがなんなのかわからなかった。
ただ、目を見開いたままお母さんの方を向く凌兄を見つめていた。
「シオちゃん?」
その声にビクッ!と肩が揺れた。
ハッとして…やっとから揚げが落ちたことに気が付いた。
あたしは動揺したことを隠すように、慌ててから揚げを掴む。
「んっ?何!?」
口の中に食べかけを急いで放り込んで、モグモグと動かしていた。
「…ご飯のおかわりいる?」
雛は可愛らしい笑顔を向けてくる。
「う〜ん、もういいやっ!」
あたしは何事もなかったように笑顔を返す。
そして、手元の小皿にある勇紀と奪い合って獲得したから揚げを一つ取って、一口噛み付く。
二口、三口と、ゆっくり。
から揚げを食べながら、勝手に耳が聞いていた凌兄とお母さんの会話を思い出していた。
――1ヶ月後に、凌兄はこの家を出ていく――…

