むくれていたら、お母さんに呼ばれた。
『はい?』
『その唐揚げは駄目よ。それはお母さんが狙ってたやつなんだから』
そうやって、選び抜いた中の特に美味しそうなやつを箸で指す。
『…はーい』
お母さんには敵わないので渋々譲る。
『あーぁ!!もう訳わっかんなくなったから、テキトーに喰う!!』
そう言って勇紀は、あたしの指差したやつを何個かとりやがった。
しかも、お母さんが言ったのはちゃんと避けてるし。
こいつ……ちゃっかりしやがって。
なんかもー、勇紀に構ってるのもこんなに唐揚げに熱くなってるのも馬鹿らしくなってきて、あたしも大人しく食べることにした。

