「…行くなんて言ってないもん」
「近くのあそこに居たじゃねぇか」
そう言われて、返答に戸惑った。
最初は行こうと思ってた…だからわざわざ恥ずかしい想いして梓くんに道まで聞いたんだ……。
でも……。凌兄は里夏さんと―――。
その光景を思い出し、またあたしの中でブチッと音がした。
「来るつもりだったんだろ?あいつのせいかよ?お前どうして泣いて…」
「嘘つき!」
凌兄の言葉を遮って、あたしはそう叫んだ。
「は?」
凌兄は何言ってんだよ?って顔してた。
とぼけるつもり?…そう思って、苛々した。
「付き合ってないって言ってたくせに……嘘つき!!」
「は…?何言ってんだ――」
「里夏さんと!駐車場のところで……見た……」
だんだん震えて、声が小さくなっていった。

