「拗ねてるんだよ。あたしに」
は……?
胃の奥の奥…
心臓の奥の奥の奥…
全てわしづかみにされたような気分。
ゆっくり顔をあげて、里夏さん…いや元今カノ…を睨み付けた。
いつのまにか、凌兄の腕に里夏さんの手が巻き付いてた。
その態勢から、くすりと笑って。
「大好きな“お兄ちゃん”だもんねっ!」
目の合ったあたしに、念を押すように言った。
嫌みなやつ…
嫌な女……
あたしは睨みつけていた目線を外し、そっぽを向いた。
凌兄なんか、その女に一生騙されてればいいんだ…!
玄関の方へと歩き出す。
馬鹿らしい、そう思ったから。
そしたら…何?
「痛い!」
グイッと腕が引っ張られた。
そのまま歩き出した方向へ、引きずられていく。
振りほどこうと抵抗してみても、強い力はビクともしない。

