凌兄が優しい…?
自分でも驚くくらい渇いた笑いが小さく沸き上がった。
ふざけたことを言わないで欲しい。
それとも……彼女には、そうなんだろうか。
あたしの知らない“優しい”凌兄なんだろうか?
今、自分がどこにいるのかも、よくわからなくなってきた。
ただぼんやりとはっきりしない世界の中に、いるような感覚。
ねえ、今までの、
全部…嘘だったの……?
「何してんだよ?」
その声に体がビクッて震えた。
現実世界に引っ張られて来た。
振り向かなくたってわかる。
兄弟になったその日から、
聞いて来たその声くらい。

