ぼんやりと、耳に伝わった。
「……あたし、今凌と付き合ってるの」
心臓が震える……思考が停止しそうになる。
唇をぎゅっと噛み締めた。
耳を塞ぎたい。
何も聞こえないようになってしまえばいい。
「……これはね、秘密なんだけど……
…小さい頃……わたしと凌、会ってるのよ」
遠慮がちに、でもはっきりと口にする里夏さん。
心臓が、ドクンと脈打った。
驚いて、思わず顔をあげた。
「…まあ、本当に小さい頃……幼稚園の時なんだけどね!」
まだ凌兄があたしの家に来ていない時だ……。
出会う前の、凌兄。
「半年くらいだけだったんだけどね、一緒の組で、毎日遊んだわ…」

