ああ、駄目だ。
こんな顔がどうしようもなく好きだ……。
悔しいのに、逆らえそうにないこの顔が。
だけどふと悲しげな目になって、
…なんだかあたしまで不安になった。
「…悪かった。あの夕飯のときは言い過ぎた」
ビクッて体が思わずなってしまった。
凌兄との仲がこじれた日。
大嫌いって言ってしまった日。
1番、後悔していた日。
凌兄も後悔してたの…?
なんで?どうして?
視界がぼやけてくる。
必死に首を横に振った。
涙が貯まり始めてる…。
「……あたしも……凌兄のこと、大嫌いじゃない…」
その反対、
………大好きだよ…
いっそ時間が止まってしまえばいい。
せめて、もう少し赤信号が続けばいい。
そう願ったのは初めてだ。
唇から伝わる熱がとても優しくて……。
前は不意打ちって感じで、好きって気付いてなかったから、ただ驚いてただけだったけど……
久しぶりのキスはなんだか違う気がした。
“幸せ”を感じたんだ…。

