唇が離れても数秒間ぼーっとしていた。
頭の中はこんがらがったまま。
先に口を開いたのは、勇紀だった。
「さっきの………『…あたしは勇紀が好きなわけじゃないし……』って、思ったより傷ついた…」
あ――あたしそんなこと口走ってたんだ。
「ごめん……」
「それから、『……凌兄なんか………大嫌いっっ!!』って、全然本気じゃねーじゃん……」
そういうと、あたしの目の下の辺りを手でこすった。
バレてしまった。
跡……残ってたんだ。
あたしは俯く。
その通りだったから。
強がってみただけ……。
「こんなんじゃ、俺、諦めきれないって…。」
勇紀の声が切なく響く。
「……なんでそこまで想ってくれるの?なんであたしなの?」

