返事もしていないのに勝手に入って来た。
振り向いて確認すると、やっぱり勇紀だ。
「返事してから入って来てよ」
少し突き放すような言い方になってしまった。
今はなにもかもが駄目だ。
「あ、ああ…ごめん」
なんだか歯切れが悪い。
勇紀がぼーっとしているように思う。
「何の用?」
ぱっと…勇紀と目が合う。
数秒間合っていたけど、勇紀が気まずそうに逸らした。
もしかして…気にしているのかな?
「さっきのことなら別に勇紀のせいじゃないから気にしなくても……」
「ごめん」
あたしの言葉に被して呟かれた言葉。
妙に、本気で言っているように聞こえた。
「だから別に……」
「!!」
!?――驚いてパニクって何がなんだかわからない。
「…それがひとつと………それから…もう、駄目だ」

