「…大丈夫か?」
その言葉で、全部分かられているような気がした。
さっきは出なかったのに、
涙が溢れてしまった。
勇紀は慌てながら、
「行かせてよかったのかよ…?」と聞いてきた。
勿論そんなの…
首を横に大きく振った。
嫌に決まってる。
いかないで欲しかったよ。
勇紀は見るに困ったのかもしれない。
泣くあたしを抱きしめてくれた。
あたしは我慢出来ず、勇紀の制服を掴んで更に泣いた。
その腕の中はあったかくて
心地よく、安心があった。
きっと初めてだろう。
勇紀が自分より大きく
頼もしく見えたんだ。
幸いこの家に誰も居なくて良かった。
冬兎もいないし、雛も今日は料理部の日で、両親達もまだ帰ってきていない。
おもいっきり好きなだけ泣ける――。

