「…分かった」
納得いかなそうにしていたけど、渋々了承してくれた。
勇紀は凌兄がいる2階へと上がっていく。
それを見届けてから、あたしは吸い込まれるように床へと落ちていった。
玄関とは違い、足もベタッとつけてしゃがみ込んだ。
その瞬間、全身の力が一気に抜けていった。
凌兄、いないといいな…
そうぼーっとした思考の中で、唯一はっきりと思う。
彼女は何をしにきたんだろう?
よりを戻しにきたんだろうか?
考えれば考えるほど、頭がズキズキと痛くなって、後頭部辺りからの頭痛がひどくなる。
とりあえず自分の部屋に行って、休もうと思い立ち上がろうと思った。
「栞…?」
その声に足を途中まで起こしたまま、止まった。

