「…栞……」
名前なんて、呼ばないで。
彼女の名前だけ呼んでてよ。あの人のところいけばいいじゃん。
あたしに構わないでよ。
それでも呼ばれて、あたしの足は金縛りみたいに動いてくれない。
正反対な2つの感情があたしの心の中にある…。
「…帰るぞ」
それを合図にして、あたしの足は腕を引っ張られながら歩き出した。
「あ、凌…っ!」
彼女があたしと帰ろうとしている凌兄を慌てて引き留める。
そりゃそうだよね。だってただの妹なんかと…。
「悪い里夏っ、じゃあな!」
ねえ、そんな簡単な別れのあいさつだけでいいの?
彼女寂しそうな顔してるよ、きっと。
もっと話したいことたくさんあるんじゃないの?
ほら、より戻す話だってしなくちゃいけないじゃん。

