凌兄の部屋をもう一度ゆっくり見回す。
ふと、本棚に注目する。
ひゃー…
やっぱり勉強関連の教科書ばかりで、あとは分厚いのとかいかにも難しそうなのが置いてある。
…あれ?
その本たちもやっぱり、綺麗並べてあって。
だけど…。
一つだけ、中途半端に開かれている本があった。
しおりがなかったんだろうか?
少し厚みのあるモノが挟んであるみたいだ。
あたしは勝手だ…とわかっていながら、吸い寄せられるようにそこへ歩を進めた。
本には、5ミリぐらいの厚さのDVDが挟まれていた。
そこに書いてある文字にドキッとした。
“お気に入り♪”
くせのある、女文字だ……。
ドクン、ドクン――
心臓が速くなるのを感じた。

