「…勇紀よりも?」
軽く頭を動かして、そっ。と言った。
どこが…?
いや実際勇紀の方がお兄ちゃんだけども、そう思ったこと一度だってないし。
冬兎には、最近大人さを感じるけどねえ。
「栞〜っ!」
なに?と友利亜のつもりで顔をあげたら、複数人がいつの間にかあたしの周りを囲んでいる。
あたしは何事かと、目をパチパチしている最中だ。
「本当羨ましいよねッ!!」
…は?
突然なんですか、奥さん。
「冬兎く〜ん!可愛い!!」
「私、勇紀派ー!話してて楽しいし!!」
「えー!やっぱり、あたしはあのイケメンなお兄さんがいいわ!!」
話掛けて来たくせに、勝手に喋り合いをしている。
なんて不理解な生き物だろう…なんて、同じ人間だけどさ。

