「別に一回出れりゃあ十分だし!悔いはねえ!」
なんて馬鹿な奴だろう。
でもちょっとカッコイイと思った。
『でも、勇紀かっこよかったわよ〜!お母さん、感動しちゃったわ!若い頃のお父さんを思い出しちゃった♪』
うっきうきになっているお母さん。ハートが飛び回ってる…。
しかもお父さんは、『ははっ。そうかあ?』なんてデレデレ。
『ね!栞もそう思うわよね〜!』
あたしに同意を求めて来た。
まあ、お父さんの若い頃は置いとくとして…。
「うん。見直した。勇紀、あんたただの馬鹿じゃなかっ…」
『まあ、素敵!!三角関係ねっ!!』
そういって、お母さんは立ち上がった。目がキラキラしている。
「ぶはっ!」
あたしは飲んでいた味噌汁を噴き出した。

