「みたよー。あのお兄様が送って下さるなんて、珍しいじゃないっ」
幼稚園の時からの親友の友利亜。家の秘密も知っている。
「そうだね、本当に今日は雪が降るかも…」
「やだー。あたし、手袋持ってきてない!」
お互い、目を見合わせて笑う。
こんな友利亜のノリが大好きだ。
「あ!」
「どうしたの友利亜?」
「…きっと来るんじゃない?」
「何が?」
「…何って…」と友利亜が言いかけた途端、ドドドドッと大きな音が近づいて来て、バンッ!と教室のドアが開いた。
「栞!!」
「なあに?」
「あの車に乗ったカッコイイ人誰っ!?!?」
「ほらねっ!」と言った友利亜の声が聞こえた。
ああ、すっかり忘れてた…
あいつ。
女、引き付けるのはうまいんだ。
ああ…もう、送ってもらうのやめよう……。

