車内はもちろんどちらかが喋るはずもなく静まり返っていて、 あたしは信号が赤の時にしてたみたいに外を見たり、 たまにバレないように凌兄を見たりしていた。 あの信号でまた止まった。 その時、凌兄はどこからか出したMDを差し込んだ。 車内には、優しい静かな曲が広がる…。 凌兄の趣味かな? 意外だなあ… 曲とか聞かないのかと思ってた。 でも今は助かった。 この音が、 この沈黙と気まずさを少しだけ… 掻き消してくれる……。 あたしは大人しく、前を向いてただ曲に耳を傾けていた。