1時間後── 「…嘘でしょ…」 焼き上がったらクッキーを見て、私は絶句した。 「あれま、月風のクッキー割れてる。ドンマイ」 来夢は私のクッキーを見て、わざわざ言葉にしなくていいことを言ってきた。 言わなくても見れば分かるってのに。 「…そんな来夢こそどうなのよ」 「ん?俺のはこれだけど」 来夢の作ったクッキーは、見事に綺麗に焼かれていた。 「…私に喧嘩売ってる?」 「そんなわけ」 「ねぇ、殴っていい?」 「痛いの嫌だ」 あーもう! どうして私だけ失敗してるのよ!!