「………今から、えーと…約3億年前。世界に天界ができたの。その時はまだ人間はいなかったから、恐竜ね。その時代に、死んだ恐竜や……虫、なんかも天界にくるようになったの。そうすれば、自然と命はサイクルしていくわけだし、みんなが幸せになれた。だからつまり、世界で初めてできた〇〇界は、天界なのね。………だけど、世界はそう上手くもいかなかったの。」
「…………一つの“善”を作るためには、代償として一つの“悪”をつくらねばならない。善だけでは天秤はつりあわない。何もせずにみんなが幸せになれる道は存在しない………って、こと、かしら?」
つい口を挟んでしまった。昔、聞いたことのある言葉をずらりと並べて。でも、夏期は嫌そうな顔をせず、逆に綻ばせながら私に笑顔を向けた。
「……ご名答。つまり、天界ができた……一つの“善”ができたことにより、必然的に一つの“悪”…、魔界ができたの。」
………夏期の話は簡潔で、分かりやすかった。