Mr.ハードボイルド




祐希ちゃんにビンタを食らって、目が覚めたわけでもねぇが、俺は俺なりに真剣にニーナのことを考え直した。

確かに、俺は一目惚れしてアイツに骨抜きになったのは事実だ。
まぁ、なによりも、このオフィスにニーナがいねぇってのが、気にイラねぇ!
そのことが一番気にイラねぇぜ!!

たとえ、灰皿を俺に投げつけようが、机を蹴り上げられようが、アイツの居場所はここが一番似合ってらぁな。
どう考えたって、あんなワガママで強気の女は代議士の妻って柄じゃねぇよな!
やっぱり、そんなアイツはこの俺、富井俊介様の相棒が一番似合ってらぁな!
つか、世の中に俺だけだ、ニーナの全てを受け止めてやることの出来る男は!

よし、決めた!
今すぐに迎えに行くからよ。
待ってろよ、ニーナ!!

彼女のスマホに何度か着信を入れてみたが、彼女は出ることはなかった。
だが、こんな時のためのGPSアプリだ!
俺は自分のスマホからニーナの居場所を割り出した。

なになに、居所は、伊香保温泉の福沢屋って旅館だな?
今日はお日柄も良く、大安吉日の日曜日だ。
ここでビンゴだな。

俺は関越道を飛ばしまくった。
残念なことに途中、嵐山付近で覆面パトカーに捕まり切符を切られたが、今はそんな余裕はない。
まぁあとは、一応、捕まらない程度の速度で渋川伊香保インターに向かったわけだが。

目指すは、旅館福沢屋。
おっ、あった、ここだぜ!

俺は狭い駐車スペースに慎重に愛車のランドクルーザーを停めた。