祐希ちゃんにビンタされた頬をさすりながら、俺は言った。
「祐希ちゃん、そりゃあ、俺だってさぁ、ニーナにお見合いなんてしてもらいたくねぇさ」
「なら、なんであんな言い方したの?」
まぁ、確かにあの言い草はなかったかもしれねぇかな。
「そりゃあ、俺なんかとコッチでいい加減な暮らしをするより、アイツのためになるかもしんねぇとかって考えちまってさぁ。アイツの実家って、親父さんが県議やってて、おそらく、その後継者との見合いなんだろう。何年かすりゃあ、お偉いさんのご夫人様だって。俺にゃあ、到底、贈ることのできないステータスさ」
「そんなこと、なんで考えるの?女はね、好きな人と一緒にいるのが一番幸せなの!お金でも、名誉でもないのっ!」
「だけどさ、ニーナが俺のこと、好きじゃねぇかもしれないだろ?そんなん、確かめたこともないし」
俺の言葉にさらに、祐希ちゃんは逆上した。
「アンタ、バカなんじゃない?誰が見たってわかるわよ。ニーナさんはアナタのこと好きなの!」
そう言って祐希ちゃんはさらに一発、俺にビンタを食らわせた。
さすが、元男性だけあって、ビンタはキツいよなぁ。
「私、どうして、こんなバカのこと好きになっちゃったんだろう」
そう言って彼女は武蔵を抱っこして、公園から去っていった。
まぁ、これで『BAR マダムローズ』も、出入り禁止だな。


