「よぅ、ニーナ、今日も美人だねぇ」
俺はオフィスに戻るなり、暇そうに雑誌をパラパラと読んでいたニーナに声をかけた。
「はぁ?アンタ、なんか変な物でも食ってきたの?」
ニーナは変な顔をして俺に言った。
「いやいや、なんか毎朝早くからエリザベートの散歩で体を動かしてるから、健康的な気になって気分がいいんだよ」
「ふ~ん、じゃあ、依頼が終了したら新聞配達のアルバイトでもしたら?朝からしっかり働いて、お給料ももらえるし、アンタにゃ一石二鳥じゃない?」
ニーナのヤツ、ダルそうに適当に返事しやがって。
あぁ!そうか、アノ日だな?
「まぁ、今回の依頼のおかげで、夜に酒飲みにいくこともしなくなったし、アンタにとっちゃ、よかったんじゃない?」
「あぁ、そうかもな。一応、この依頼が終わるまで禁キャバクラにしてみるか」
「ふ~ん、じゃあ、契約の延長の依頼あったら、アンタどうすんのさ?そしたら完全に禁キャバできるんじゃない?それはそれで私にもありがたいけど」
ほぅ!ニーナ、俺がキャバクラ行くのイヤだったのか?
女のかわいい嫉妬だねぇ。
「アンタがキャバクラ行くとさ、昔の同僚や後輩からクレームがくるのよ。『どうにかしてよ、あのアホ』ってね。だから、私ね、立場なくてね、困ってんのよ。アンタがキャバクラ通い止めてくれたら、肩の荷が少しは降ろせるよ」
ったく、勝手に言ってろ!
まぁ、だけど、今の俺にはキャバクラよりも楽しい祐希ちゃんとのモーニングデートがあるからねぇ。
そのぐらいのイヤミ、軽く受け流してやるさぁ。


