汚れた恋心

「これから用事あるか?」
と彼は聞く。
「あるよっ。莉子ちゃんと由香ちゃんで
カフェ行くの…!」
茜はそう返事して莉子に手を伸ばした。
莉子はその手を掴んで立ち上がる。

茜は掴んだ手をぎゅっと握ったまま
昇降口まで歩きだそうとする。
その時、莉子の右手に痛みがはしった。
「いたっ…!?何、するの…?」
右手を強く叩いたのは恭だった。
莉子はジンジンと痛む手を見ると
赤く晴れ上がっていた事に気づく。

恭は私を醜い虫でも見たかのような
目で見ていた。
「俺の茜に触んな。茜、お前もだ。
コイツに喋りかけんじゃねぇよ。」
恭はギロリと私を睨んだあと、
怒ったように茜に注意した。