「大丈夫ですかー!」


「病院ですよー!頑張ってください!」





看護師の声が響く
















痛い















あたし大丈夫なのかな





















「倉沢さーん、もうちょっとですよー!」






























目が覚めた時には
















ベッドの上にいた




















「あ、目覚めましたか!……先生!倉沢さんがー!」














見回りに来ていた看護師が















医者を呼ぶ




















「……あの、あたし……」














ガラッッ










病室のドアが開く












「倉沢さん。大丈夫ですか。」









若い男の先生が入ってきた
















「…あの……」








あたしを見てニッコリと笑うと








「大丈夫ですよ。ただの盲腸です。」








盲腸……………













良かった
















「あ、でももう少し安静にしといてくださいね
あと二日は入院して頂きます。」










「…はい」










そう言うと先生は出ていく





















痛みは少しあったけど













起き上がっても全然大丈夫だった


















今日っていつ?
















前のベッドにいるおばあちゃんに声をかける








「あの、今日っていつですか?」










「今日?今日はねー、16日だよ。」 













16日………………………











あたしが倒れたのは

















15だから…………












次の日か。















何だ全然たってないじゃん





















お昼も過ぎて














ずっと寝たままなのが疲れたあたしは















病院内を回ることにした






















病院なんて初めて…………





















意外と楽しいな



















売店に行った















結構いろいろあるじゃん


















雑誌コーナーへ向かう



















そこには男の人が一人立っていた

















あたしのお目当ての雑誌はその人の目の前に………







ああ……とりずらっ












「………すいませーん……」












断りを入れて取ろうとしたら











その人の顔が見えて


















「…え………」















「何で千紘が………………」













そう、あたしの名前を呼んだのは














「……棗…………」















どうして?













棗がここに居るの

















「……元気か?」







少し気まずそうに





優しく笑う














それが余計に













苦しかった



















「…元気だよ。棗は?」






「…おう。」












けど



棗は前よりも細くなってる気がした











もともと細身のくせに


















大丈夫なのかよ…………

















「千紘はなんでここにいんの?」
















「……あ、盲腸になって……」







「痛くねぇの?」








「手術の傷は痛いけど……我慢できる」









あたしが笑うと






棗も安心したように笑った























ずっと会ってなかったのに

















普通に話せてることが嬉しくて



























棗はなんでここにいんの?













って、聞けなかった























聞いたら何かが終わる気がして…………………