泣きじゃくるあたしを少し離すと 棗は未だ立てない母親に向かって 「あんた、もう二度とコイツに会うな。 なんかしたときはオレが許さねぇから………」 冷たい目でそう言った あたしの手を握ると 「あっちにバイクあっから、少し歩くぞ。」 また頭を撫でてくれた。 ……落ち着く 棗の手って 魔法の手みたい 「ほら、これ。」 あたしにメットを被せる 「つかまってろよ。」 ブオンブオンブオンッッ あたしこの音好きだな 棗の吹かす音 暖かい背中に安心する 棗…………………………………