「………はっ、ちょっと何なのよ!!」




母親があたしの手を振り払った







「あんたを殺しにきたんだよ。」









その瞬間驚いた顔でこっちを見る。











「……何言ってんのよ………殺すって……」








落とずさりする女












「てめぇは一生許さねぇ……地獄に落ちろ!!!」






ナイフを突き出した












腰が抜けたのか母親は






座り込んで









「………お、お願い。何でもするから……今までしたことも全部謝る!…………だから殺さないで……お願い。」










今さら命乞い?









ふざけんな











謝罪ぐらいであたしが許すと思ってんのか















「なんと言おうと許さねぇ。てめぇだけは絶対に。」










座り込んだ母親めがけて








ナイフを振りかぶった


















「…ヤメローーーーーーー!!!!!!!」














なに……………













あたしが振り向いた時にはもう






その声の主は







真後ろにいて。












「………なんで……」

















棗がここに居るの……………………









棗はあたしの手にあったナイフを取り去ると










「千紘、お前何してんだよ。あ?」









あたしの両腕を掴んで







問いただす










「うるさい。………お前には関係ないだろ!!」








「あ?関係ぇねェよ。そりゃそーだ。けどな
人を殺すなんてしちゃいけねぇんだ!!」









あたしを掴んだ手に力が入る











………そんなの知ってる









やっちゃいけないなんて










知ってるよ…………












「わかってる!けどその女は……あたしの人生をめちゃくちゃにしたんだよ!!!」












自然と涙が頬を伝う









「だからってな…………!!」










………………うるさい……うるさいうるさい











「てめぇに何が分かんだよ!!!
知ったような口聞いて!!
てめぇなんかにあたしの気持ちなんかわかんねぇよ!!!」




















力いっぱい叫んだ











声が枯れるくらいに














「ああ!!わかんねぇよお前の気持ちなんか。
てめぇの気持ちはてめぇしかわかんねぇ!!」













「だったら離せよ!」










あたしは母親の方を向いて










「この女を殺す。」



















「いい加減にしろ!!………お前何にも分かってねぇな
ああ?この女がお前の人生をめちゃくちゃにしたんだろ?
だったらこんなヤツのためにお前が手を汚す必要なんかねぇんだよ!!」















「………けど!!……」














「けどじゃねえ。
お前は人殺しなんかしちゃいけないんだよ。
大丈夫だ。お前には、これからがあんだろ、
前だけ見てりゃいい。」












棗はあたしにを抱きしめた














「…………っヒックっっ……」
















涙が止まらなかった

















初めてだった


















こんなことを言われたのは





















棗があたしの頭を優しく撫でる



















その優しくて暖かい手が












あたしの心を温めてくれる




















_________


あたしに光を教えてくれたのは











あなたでした