棗が会いに来てくれたあの日から少したった頃







あたしは一人で家にいた













ピーンポーンピーンポーン………







呼び鈴がなる











誰?




まだ朝なんですけど









「はーい。」








ドアを開けた先にいたのは










「久しぶり。」











あの女……









あたしの母親だった。









「何しにきたんだよ。」








「こっわー。そんな顔しないでよ。」







「用がないんなら帰れよ。」






「ちょっと待って。あんたにいい仕事持ってきたんだから。」







仕事?





何言ってんのこいつ









「仕事なんていらないし。」







「そんなこと言わずに、いいじゃん。
てか、もう連れてきたし。」








連れてきた?






どういうことだよ?









母親が誰かを呼ぶ








あたしの前に現れたのは








一人の男













は?









いみが分からない














「ねぇあんた、援助交際って知ってる?」









背中に悪寒が走る










こいつ…………………









「この人あんたのこと言ったらぜひって。」












ありえないありえないありえない







娘の体を売るとか









この女は












母親なんかじゃない