いつものバイトの帰り



久しぶりに遅くなって急いで帰ってた



走るのに少し疲れたあたしはペースを落とした






「あんた、千紘?」



誰かがあたしの名前を呼んだ。



声でわかった

誰なのかわかってしまった





……………あの女だ。







「あんた何してんのこんなところで」




「てめぇに関係ねぇだろ」




「ふーん?まあいいけど。
てゆうかさぁ、お金かしてくんない。
あんたバイトしてるでしょ。
三万でいいから」




この瞬間


殺人犯になってもいいと思った










この女は人間なのか




「てめぇにやる金なんかねーよ」





「あんた、母親が恥をしのんで頼んでるっていうのに
生意気ねー」



恥をしのんで?!



笑わせてくれるわ






てめぇなんか野垂れ死ねばいい








「もう二度とあたしの前に姿現せんな」





「ちっ、あんたなんか死んじまえ!!」





あたしを睨んであの女は帰った。