「耳元で囁くのやめろ!」
顔が少し赤くなっているのを見て思い出した。
こいつ、耳が半端じゃないほど弱いのだ。
「あー、悪い。」
まぁ、俺を疑ったお返しということでチャラになるだろう。
宗吾はそういう奴だ。
それからも少し喋っているとチャイムがなり先生の怒声が響き渡る。
それに驚いた女子たちが拡散していくのだが…まだ居たのか。
少し男子も混ざっているが廊下で駄弁っていたのだろう。
「席についてくださーい。」
そうやって入ってきたのはクラスの担任、増川弘−マスカワヒロ−。
爽やか系で眼鏡が似合っているちょっと童顔な新任教師だ。
いじめが止められなかったのは新任だからという事もあるが気付かけなかったということもあるだろう。
流石、裏で古井が操っていただけのことはある。
学級委員だから先生を呼び出したりするのは簡単だっただろう。
「ええと…欠席は居ませんね。」
教室を見渡しながら言う。適当だなとは思う。
だが、出席確認をして時間を無駄にするのはどうかと思うから今のままでいいが。
「――――――です。では、HRを終わります。」
増川がそう言うとガタガタと椅子から生徒が立つ。
そう言えば移動教室だ。……何だったか。
そう考えを巡らせて行き着いた先は、『音楽』だった。
美術と選択なのだが、俺は音楽を選んだのだ。
「………サボるか。」
今日はビデオ鑑賞だったはずだ。見るだけなら寝てればいいのだが、プリントの穴埋めを並行してやっていかなければならない。
何を見るのかは忘れたが面倒なことこの上ない。
そう思った俺は以前のように盗み防止のために鞄を持ち立ち上がり、三人に伝え教室を出た。


