StarDust(仮)




なんで声をかけなかったのかというと、それは誰かの足音がしたから。

同じクラス…1−Aだったら困る。


ソイツから噂が流れていじめっ子たちの耳に届くと大変だ。


俺は学校から50mほど離れた公園で着替えを済ませ、大和を待つ。


返事は来たから大丈夫だろう。


今日は生憎の曇り。



湿っぽい空気が張り付いて来て気持ち悪い。

…厚い雲が太陽を覆うように隠していて、機嫌が悪くなる。


こういう曇りは嫌いだ。

それなら雨が降ってほしい。

……あ、いや、やっぱり降らないでほしい。


主に今は。

これからバイク乗るしね。


まぁ、うだうだ言っても仕方ない。今は梅雨時期、逆に考えれば雨が降ってなくて良かったと思えてきた。


ふと、バイクの音が近づいて来た。



焦茶の髪を風に揺らしながら辺りを見回す人物は俺に気付くまで時間が掛かったが、気付くとヘルメットを渡してくる。


「わざと目立つ奴にしたのに何でフード被ってんだ、お前。」

「そりゃ、目立つからだ。」

「…それもそうか。」

こんな目立つ格好、人通りが少ないからと言っても晒すのはごめんだ。

俺はフードをとり、代わりにヘルメットを被る。


「運転させろ。この無免許野郎。」

「深影だって免許持ってねぇだろ?」

「残念。この前合格した。」

「チッ…。ズリぃよな、4月2日生まれ。」


そう言いながら大和はバイクから降りる。

俺はそれに乗り、大和が後ろに乗るのを待つ。


「うし、しっかり捕まってろよ。」

「おー…」

男同士だからだろう気乗りしないのは分かるが何もそこまで嫌々乗らなくてもいいと思う。


苓に言われてなかったら振り落としてるところだ。

ため息をつきつつ、俺はバイクを出発させた。