StarDust(仮)





うんざりしながらそっちを振り向くと、男と目があった。

眼鏡はいつも通りかけているから、今は見た目学校の俺そのものだ。


「……何。」

俺が呆れながら声をかけると向こうは目を背け別に。と言ってお菓子が売っている方へと歩いて行った。


「……何だったんだ。」

「お兄ちゃん、男にモテモテだね?」


クスクスと俺をイジるように言ってくる。


「うるせ。」


……何となくだが陽奈はちょっと、小悪魔入ってる気がする。




先ほどのようにバイクに乗り、家に帰る。


扉を開けようと鍵を回すと、既に開いていて妹辺りが帰って来ているのかと、ただいまと声をかけて家に入る。


「あら陽奈、深影。おかえりなさい。」


聞こえてきた声は海月よりも幾分も低い…と言うより大人びていて母さんだということがわかる。

「お母さん!おかえりー!」

「どこに行ってたの?」

「お兄ちゃんに買い物連れてってもらったの。」

そう陽奈が笑顔で言うと母さんはこちらを向き、手を出す。

俺が首を傾げると、ため息をつきながらおしえてくれた。


「お金払うからレシート頂戴。」

「いや、そこまで出費ないから…」

「いいから!」


……どうしよう、レシート捨ててしまったんだが。


「……ごめんなさい。レシート必要ないと思って捨ててしまって。」

「…そう。じゃあ、今回は仕方ないわね。次からはレシート貰って来なさいよ?」

「……わかった。」

本当この人苦手だな。

…俺に頼るのが嫌だとかなんとか言ってたけど妹に何か買ってやるぐらい別に良いだろ。


陽奈にお菓子の入った袋を渡してから俺は部屋に戻った。


あの人、妹にあげたプレゼントの分のお金も渡してくるし。

なのにプレゼント用意しなかったら怒るし。

俺に頼りたくないって言うのは分かるんだが娘の分まで払わなくてもいいと思う。


高い物買ってきたら買ってきたで怒るしな。


本当、あの人の頭の中が良くわからない。

ま、本当にお金いらない時はレシート捨ててこればあの人も諦めるけど。