俺は少女を蹴ろうとしていた男に今まで差していた傘を投げる。

威力は皆無に等しいが黒だから目くらましになるってのがいい。

不良はそれに驚いて一、ニ歩後ろに下がる。

冷たそうだもんな…。


「てめぇ!何しやがる!」


俺の近くにいた男が殴ろうと飛び込んでくる。

それを避けて、その避け際、相手にパンチをお見舞いして。

ええっと…敵の数はざっと五人。

今一人倒したからあと四人。

一人がやられたことにより残りが一斉に襲い掛かってくる。

それを避けて殴って蹴っての繰り返し。


面倒すぎて反吐が出る。


「……つまんな。」


本当、つまらない。弱いし。

二、三発いれたら倒れるくらい。


気がついた時にはもう、全員倒れていて。

俺は傘を差し直してから、少女に向き直った。


「…大丈夫か?」

「え?…あ、はい……」

まだビクビクしている少女に俺はパーカーをその場で脱いで渡す。

下にTシャツ着てるから問題ないし。


「あ、の…これは?」

「濡れてるけど着ろ。その恰好じゃ帰りたくても帰れないだろ。」


下は流石に無理だけどスカートだったからそこまで千切られてないし。