まぁ、そう言われるのはなんとなくわかる。
だって今僕は鞄を持っているのだから。
「前の学校でもそうだったでしょ。」
僕がそう言うと苓は昔を思い出すように空…と言ってもここは天井だけど…を見て考えるような仕草をした。
「んー……あ、確かにあった気がする。」
「でしょ?まぁ…自己防衛みたいなものだよ。鞄の中は見られたくない主義だから。」
まぁ昔、勝手に中みられて大切なもの盗まれたっていうのもあるけど。
「というか、なんでトイレ行くんだ?直行すればいいんじゃねーの?」
「屋上の扉どこにあるか知らないし。立入禁止になってるだろうからね。」
「あ?なら入れねーじゃん。」
「深影なら大丈夫でしょ。」
ピッキングぐらいお手の物だろうし。
平和主義だから殴り合いという簡単な方法で片を付けないからその分、たちが悪い。
相手の弱みを握って脅す。その為に聞き込みやら犯罪まがいのことしてるからなぁ…
「それもそっか!んじゃ、なんでトイレ?」
「大和と合流して案内してもらう。」
僕はそう言いながら、トイレの中に入って苓に袋を渡す。
「これは…ウィッグ?」
「苓は目立ち過ぎなの。何その白髪。前の学校じゃウィッグ付けてたのに。」
「だって校則緩いし?」
渋々と言った感じでウィッグを被り、ズレがないか鏡で確認する。
そして、僕の方を向いて笑った。
「どーよ!」


