俺はまだ全ての教科書類が入っている鞄を持ち、教室を出ることにした。
屋上へ行くためだ。
だが、それは止められた。
「深ぃ影ちゃぁん?どこに行くのかなぁ?」
そう、いじめっ子たち…名前は…何だったか。
覚える価値もないから忘れた。……後で大和に聞いておこう。
「………」
「あっれぇ、無視?俺達さぁ、買って来てもらいたいものあるんだけどぉ。」
「そんな金はない。自分で買ってこい。じゃないと老後動けなくなるぞ?運動不足で。」
今は忙しいんだ。お前らに構っている時間はない。そんな目で相手を見つめる。
一応顔を隠すために縁の太い眼鏡をかけている。それにレンズは伊達でも分厚いから相手からはどんな目をしているかは見えてないだろうな…
向こうは沸点が低いのか、大股で俺の方へと近寄ってきた。
背は俺の方が高いから自然と見下すようになる。
だが、それが気に触ったのだろう。
向こうは俺のネクタイを掴んで間近に顔を持ってきた。
「抵抗もしなかった奴がいきなり抵抗すんじゃねぇよ。根性無しのくせに!」
「いいからさっさと買ってこいよ!」
「っい"…」
そして、ネクタイを掴んだまま向こうは頭突きを食らわして来た。
だが、声を出したのは向こう。
昔から頭だけは硬いんだよな…比喩じゃなくて、そのままの意味で。
「もういいか?さっきも言ったが俺は急いでいるんだ。」
頭を抱えるためにネクタイを手から外した隙に俺は屋上へと向かった。


