完璧上司の秘密を知ってしまった件について

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「あー、まーたやってるよ、あいつら」

海外事業部一課課長の鈴木政宗(32)が、定食をお盆に乗せ、テーブルに向かって歩いているときに呟いた。

「またって?」

政宗の横で、同じ定食をお盆に乗せ歩いている須藤課長が問いかけた。

すると、政宗は窓側のテーブル席を指差した。須藤課長はその指を目で辿ると、そこには凛と新が何やら言い合っていた。

笑ったり、怒ったり、コロコロと表情を変えながら、話をしている。それがまぁ、なんとも楽しそうだった。

「…あの男確か海外事業部の」
「そ、うちのエース、三好新。あいつらさー、時間があればいっつもあーやってくっついてんだよ」

「…」
(ま、社内恋愛は禁止じゃない。自由だ)
と、須藤課長は思った。

「佐伯さんてさ、結構可愛いだろ」

(ん⁈どこが⁈)
と、思ったが、あえて言わなかった。

…その思いが顔にしっかり出ていたのか、政宗はフッと笑う。そしてテーブルにつくと、定食を食べ始めた。須藤課長も右に同じく…

「佐伯さんの魅力、お前にはわかんないかなー」
(…全くわからん)

そんなことを思いながら、味噌汁をすすった。

「あの子、結構男子社員から人気なんだぞ」
「…どこがいいんだ、わからん」

と、つい口をついて出てしまって、須藤課長はハッとした。