…その夜。凛は新に連れられ、居酒屋に来ていた。

「…凛、あのさ」
「…うん?」

最初は、仕事の話や取り留めのない話をしていた2人だったが、突然真剣な面持ちで、凛の顔を見た新。

凛は何事かと、黙って新を見返した。

「…俺の事、少しは考えてくれた?」
「…え、あ…、うん」

歯切れの悪い凛を見て、新は苦笑した。

「…全然考えてなかっただろ?」
「…ごめん」

新の言葉に、凛は正直に謝る。

「…まぁ、仕方ないよな」
「…え?」

「最近急に、須藤課長とよそよそしくなったし。その上須藤課長は、最近綺麗な女性と仲良くしてるし」

「…新?」

首をかしげる凛に、新は肩をすくめた。

「何年お前の事見てきたと思ってんの?」
「…」

「…凛、凛は須藤課長の事、どう思ってんの?」
「…上司だと思う」

「それだけ?」
「…」

「もぅ、気づいてんだろ、自分の気持ち」

「…新、私」
「言うな!」

突然そう言われ、凛は口を真一文字に結んだ。

「…俺とお前は昔も今も…そして未来もずっと…友達なんだよな」

「…うん、…私は新と友達でいたい」

「泣きそうな顔すんなよな」
「…ごめん」

「さっさと告白してこい」
「…え⁈」

「上手くいったら、友達でいてやる。でも、振られたら、凛が嫌だと言っても俺の彼女にするからな」

「…新」

「…課長の事だ。どうせまだ会社だろ?ほら、行った行った…」

そう言って、新はシッシッと、手で追い払った。